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マルボロ博士への追悼
私が大学を卒業し、初めて就職した小さな自然観察施設が、
マルボロ博士と出会った場所でした。
博士は当時70近いお爺さんでしたが、
白衣を着て、颯爽と登場する様は本当に素敵で。
無口でぶっきらぼうな先生でしたが、、
ラベンダーから精製した香水の作り方をおしえて下さった時には、
とっても饒舌に、熱心にご指導していた姿が印象的でした。
そんな先生が、
「美星さん。妻に見つかると叱られるので、
これを机の引き出しにしまっておいてくれないか。」
と言いながら、時々私に預けたのが、
赤いマルボロ。
私は煙草が嫌いなのですが、
先生が気恥ずかしそうに差し出す姿が、どうしても憎めなくって、
いつもついつい、そっと引き出しに仕舞っておいてあげました。
真っ白な白衣と、真っ赤なマルボロ。
あれから故郷を離れ、東京に住み、
ようやく私も、仕事が落ち着き。
そんな便りを先生に送ったら、
先年亡くなりました、との返信がありました。
肺癌でした。
結局、こっそり楽しんでいた煙草が、
先生を天に連れて行ってしまったのかも知れない。
けれど、
時々、青空を眺めながら、
一人、悠々とマルボロをふかす先生の姿を思い出すに、
ああ、死に様も先生らしいなと。
先生がおしえて下さった、颯爽とした生き様を、
私は忘れません。
御礼と祈りを込めて。
園部先生、有り難う。
天国で、思う存分マルボロを味わえるといいですね。
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